i
SHIBAGUCHI
FILM
COMMENT
奇蹟のような、映画、観せて戴きました。
まるで映画が今、この世に誕生したみたいです。
映画の初心。穢れなく、こよなく純真。
少女らの一瞬一瞬に時が止まり、また流れ、
映画独自の私的な時間を刻んでゆく。
いとしい思いが残像していく。
かけがえのない、とりかえしのつかぬ … …
その少女の時間は、
かりそめの生、はかない生の存在を予感させ、
そして、——淡々と語るが故に怖さがつのる、
戦争の記憶!。—— 生きて、生きて!。
私的な思いが一気に普遍となる。
これが劇!。
少女らの実年齢に驚きました。
正に無垢なり。
一所懸命に唄を学び、舞踏を練修し、
伝える事に励んだ。生きるとは、一所懸命なり!
それが命の尊さを伝える。
失ってはならぬ人の心を語り継ぐ。
彼女らの創意と努力と、一瞬をもおろそかにせぬ
一所懸命に拍手を!
彼女らの表現力を以って、この映画は映画たり得た。
しかも、奇蹟の映画に。
この素晴らしい少女らと共に時を送り、
このような映画を生み出された柴口勲監督の映画愛と
力量には感服致した。信じる力があるからこそです。
映画を信じ、この世に穏やかなる日々の創造し得ることを
信じ、そして目の前にいる少女らのかそけく、力強い息遣いの
永遠なる事こそ信じる力と美しさ。
まことに力強く、美しい映画を見せて戴きました。
いま、とても幸福です。
映画の歴史のある限り、拍手は鳴りやまぬでしょう。
一所懸命、自分が自分となって、あなたと共に
生きていこうね。
わたしとあなたを結んでくれるもの —— それが映画。
世界がこうして手を結び合えば、
きっと平和が実現するのです!
一所懸命、生きてゆこうね!!! ……
あなたと一緒に ……
映画作家・大林宣彦
奇蹟の映画と出逢った。
柴口監督の作品ではスタッフ・キャストを中高生に任せ、その個性・資質をまるごと、且つ最大限活かして映像に収めている。
本作は、一度聞いたら忘れない楽曲の素晴らしさ、郷愁を誘う詩の響き、歴史ある校舎を活かした映像の美しさ、ミュージカルシーンの可憐さ、そして澄みきった歌声により、純粋さに溢れた珠玉の作品に仕上がった。
生徒らののびやかな資質と、原石に潜む輝きを見出した柴口監督の慧眼。彼女ら彼らには自信を持って未来に突き進んで欲しいし、柴口監督にはまた新たな才能を見出して行って欲しい。
こんな素敵な作品を見つけてしまった私は、一人でも多くの人に観てもらう機会を作らねばとの思いに駆られている。
(TAMA映画フォーラム・チーフディレクター 飯田 淳二)
この映画には、「中高生40名で製作」とか「ミュージカル映画」とか、
魅力的なキーワードがたくさんありますが、
いったん物語が始まれば、
ただただ、映画の面白さに夢中になって、
キーワードのことは忘れることでしょう。
大丈夫です。そのままスクリーンを見つめて。歌い踊る彼女たちの輝きに圧倒されましょう。
途中からはもう怒涛の展開です。
「えっ、こんなお話だったの!?」などと驚いている暇はありません。ぐいぐい進みます。
古い教室も階段も廊下も扉も。少女も、少年も。あるがままで。美しい。
もう一度繰り返します。大丈夫です。難しくありません。
生きましょう。この時代に、ともに、うまれてきたのだから。
ただ、あなたとともに生きたい。
ささやかな、隣人として。
(女優 三坂知絵子)